毛皮の種類

ミンク/Mink

1866年に野生ミンク(ワイルドミンク)の養殖化に成功、その後1930年代に突然変異種が出現して、メンデルの法則の応用で改良され、現在、25以上のカラーが生産されている。刺し毛は強くしなやかで光沢に富んでおり、綿毛も密度が高くシルキーなため、衣料用として最高の特質を備えた素材と言える。耐久性に非常に優れ、保温力もよい。染色も容易で、非常に多くの色を正確に表現することが可能。抜毛、刈毛などの加工も施されて広く活用されている。

ウィーゼル/Weasel

広く北半球に分布し、地域により毛色や毛質が異なる。日本産は、ジャパニーズウィーゼル(和名 いたち)、米国産はアメリカンウィーゼル、中国産はチャイニーズウィーゼルと呼ばれる。毛皮として日本で扱われているウィーゼルの大半は、中国産である。黄褐色をした短い刺し毛はミンクに比べシルキーさや光沢の面で劣る。抜き毛や刈り毛、染色されて用いられることが多い。

セーブル/黒テン/Sable

黒貂(くろてん)とも呼ばれる。ロシア、中国北部、北海道などでも生息するが、一般的には、ロシア産のロシアンセーブルを指す。色は黒褐色から黄褐色までさまざま。毛足はやや長くて非常に柔らかく、保温力に優れていて光沢があり、軽い。毛皮のなかでも最も高級な素材の一つとされている。

シルバーフォックス/銀狐/Silver fox

銀狐は赤狐(レッドフォックス)の突然変異種。カナダ、米国(アラスカ)、ロシア、ノルウェー、フィンランドなどで養殖が行われている。刺毛は長く張りがあり、銀色と黒色がある。黒と銀がはっきり鮮明なものほど良質とされる。天然のまま用いることが多いが、染色すると、銀色の毛だけが染まり、黒色の部分はそのまま残る。綿毛の密度は、ブルーフォックスよりも少ない。 

ブルーフォックス/青狐/Blue fox

青狐のことで、キツネの中では、もっとも産出量が多い種で、その殆どがスカンジナビア産の養殖。刺し毛は長いが銀狐より短くシルキー。綿毛はやや長く密度も高い。全体にグレー色をしていて、耐久性に優れ、保温力は非常に良い。フォックスの中では、毛皮衣料として最も活用されている種。自然色がグレー系の淡い色のため染色が容易で、多くの色を表現することが可能。コートに合わせて各色に染色するなどトリミング需要も多い素材。

ラクーン/あらいぐま/Raccoon

和名アライグマ。北米に生息する狸に似た動物。茶緑褐色から緑褐色のやや長い刺し毛と尾にある黒と黄褐色のリング状の斑紋が特色。狸、チャイニーズラクーン、ロシアンラクーン、フィンラクーンなどは、形状は似ているがいずれもラクーンとは別種の動物である。

ラビット/ラパン/ウサギ/Rabbit/Lapin

南欧が原産だが、家畜化したものが世界各地で見られる。フランス名ラパンも一般的。毛色の種類が多く、それぞれの種類毎に名称が付けられている。代表的なものは、シロウサギ(白色)、チンチラウサギ(灰青色)、ゴマウサギ(灰褐色)、ゴールウサギ(淡褐色、ベージュ色)、クロウサギ(黒色、黒褐色)、ブチウサギ(上記各色の一部分に異なる色が混じっている)。特殊な種類として刺し毛が退化した綿毛だけのレッキス種がある。毛の一部分が細くなっているため、折れたり切れたりし易い性質があるが、刈毛(シェアード)処理をすると、その欠点が解消される。ラビットは、耐久性はやや低いが、染色が容易なことに加えて、比較的安価なため利用範囲は広い。

チンチラ/Chinchilla

元来アンデス山脈で生息していた野生の小動物だが、現在毛皮用に使われているのはすべて養殖種。刺し毛は退化し、非常に滑らかで柔らかい綿毛のみで構成され、毛の密度も非常に高い。背の部分が濃青淡青色、腹部は青灰色。突然変異種でベージュ系の色もある。皮は軽いが、極めて薄くデリケートで耐久性は低いため、取り扱いには注意が必要。

ヌートリア/Nutria

南米アルゼンチン原産のビーバーに似た動物で、水辺に巣をつくり生息している。1954年養殖用に北米から輸入され、各国で飼育が始まった。柔らかい褐色の綿毛と薄茶色の堅くて太い光沢のある長い刺し毛がある。抜毛あるいは刈毛して使われることが多い。

カラクルラム/Karakul lamb

カラクル種のラムの総称。ペルシャンラムあるいはアストラカンとも呼ばれる。産地によって南西アフリカ産の「スワカラ(SWAKARA)」のように、商標名がつけられているものもある。毛色は黒色が大半で、他にグレー、茶、白色がある。毛は刺し毛がなく綿毛だけで構成されており、毛丈の分類では極短毛及び短毛で、巻き毛の形状により様々な美しい斑紋が見られるのが特色。その巻き毛の形状、毛足の長さなどにより、タイプ別に分類される。特に毛足が短く軽量なタイプのものは、「ブロードテール」と呼ばれている。

まだまだ、様々な動物の毛皮も存在します。
ただ、クリーニングをたくさん扱っているのは上記のような
種類がほとんどでしょう。